ローカルの魅力を語る上で、農業や畜産、漁業などの第一次産業は重要なキーワードだ。 「食が豊かな地域」という認識があると、その地域の食品を購入したり旅行に行きたくなったりする。 ローカルにとって、やはり第一次産業は大きな強みなのだ。 海外に目を向けると、食の都といわれるフランス・パリで日本食が人気だが、最近では食材そのものの価値が高まっているそうだ。 食の感度が高い人々には、ローカルの持つ第一次産業の底力が特に大きく作用するのではないだろうか。 鹿児島市に本社を置くスタートアップ・Buddycare株式会社(以下、バディケア)は、フード事業をはじめ犬のヘルスケア事業を展開している。 代表取締役の原田和寿さんは、九州、特に地元鹿児島の食の豊かさが決め手となり、Uターンして会社を設立。大の愛犬家で、海外勤務の際も愛犬と一緒に過ごしていた。 原田さんが徹底して食にこだわるのは、家族として、ご自身も愛犬をとても大切にしているからなのだろう。 今回、原田さんから、バディケアの事業に関する貴重なお話をたっぷり伺うことができた。(画像提供 Buddycare株式会社)物理的に近くにいるというのがすごく大切だと思ったので、鹿児島で起業しました。 Q.「BuddyFOOD(バディフード)」では、原材料について、どんなこだわりがありますか。 (写真提供 Buddycare株式会社)バディフードの食材は九州産を中心に国産のものを使用しており、その多くを鹿児島で調達しています。 黒毛和牛をはじめ、肉類は全て鹿児島県産。サバは、鹿児島県阿久根の下園薩男商店さんから仕入れていますし、カツオも鹿児島県産ですね。 犬は雑食なので、肉・魚・野菜・お米と必要なのですが、それが一つのエリアで揃う場所は、全国見回してもなかなか珍しくて、鹿児島はその一つだと思うんです。 であれば、鹿児島で食材の調達をしたほうがいいし、すぐ近くで調理製造から発送まで一括して行うのが安全性やトレーサビリティの確保、経済効率性を考えても絶対に大事だと考えました。 現在、バディフードは薩摩川内市の食品製造会社であるアトスフーズさんにOEM(受託製造)で作っていただいています。 例えば僕たちが東京にいてすごく離れてあまり会えない中で作ってくださいとお願いするより、 より良いものを作っていくために、普段からコミュニケーションを取って、実際に食材を見ながら話せるほうがいい。 そのためには、やはり物理的に近くにいるのが大切だと思ったので、鹿児島で起業することにしました。 自分が家族としてどういう情報を知りたいかと考えた時、トレーサビリティまできちんととれるかを重要視した。 Q.生産者や製造者の方々について発信することに、どんな想いがありますか。 バディフードについては、食品衛生法で求められていること以上の情報開示をしていて、 どこの仕入先からどこの産地のものを仕入れたかという情報も、全てウェブで公開しています。 そこまでの情報開示は食品でも求められていないのですが、自分が家族としてどういう情報を知りたいかなと考えた時に、 ただ国産品であるとうたうだけではなく、どうやって仕入れているかというトレーサビリティがきちんととれているか、というのは、とても気になることでした。 そこは、他の愛犬家の方たちも気になるのではないかと考えて、バディフードのサイトでは、生産者さんやお客様の声をご紹介するなど、積極的に情報開示しています。 お客様にとっては安心感につながると思いますし、 生産者さんも、作ったものがどう使われているのか知ることができて、 自分たちの想いもちゃんと伝えてもらえるのは本当に嬉しいと言ってくださっています。 そういう意味ではバディケアが提供するバディフードを通して生産者さんと最終消費者であるお客様との、橋渡しができているんじゃないかなと感じています。 愛犬が病気になる前にできること。正しい健康管理のためのデータを「貯める」Q愛犬の健康管理には、なぜデータの収集が必要なのでしょうか。 犬のヘルスケアに関する科学的なアプローチは、現在までほぼ何もなされていないといっても過言ではありません。 もちろん病気になった後の獣医療などは、すごく発達してきているのですが。 人間の場合、最初は病気になったものをどうやって直していくかということに注力されて、寿命が伸びた結果、健康管理のための生活習慣がフォーカスされるようになりましたよね。犬の場合も同じような流れをたどっています。 獣医療が発達し、犬も寿命がどんどん長くなってきている中、今は、病気になる前の生活習慣において、健康管理に取り組まなければならないという状況です。 ただそこに対して、今までのペット業界の企業や関連する事業では全く手をつけられていないんです。 (写真提供 Buddycare株式会社)人間では、例えば年に一回血液検査して、その結果コレステロールが上がってきたとわかったら、「ごはんを野菜中心にして肉を減らして運動しましょう」となりますよね。 出てきたデータに基づいて生活行動様式を変えるというのは、実は自然となされているんです。 これは、統計的な研究の積み重ねの上に、こういう状態になったらこういうことをしたらいいよねというのが、ある程度の常識レベルまで落とし込まれているからだと思います。 しかし犬の場合はそうではない。現時点では、そもそも、データの蓄積すらなされていないのです。 愛犬の健康診断をされていらっしゃるご家族も多いと思いますが、 血液検査や体重がどう変化しているか、という、基礎的な情報をしっかりと蓄積・分析をしていくのは、すごく大事なことなんですよね。まずは、それをやる必要がある。 現時点では、こういう情報があればこういうことが解るというのが、まだはっきりしていない状態ですが、さまざまな健康管理データを統計的に分析していく事で、 例えば、こういう犬種・体重で、普段こういう食事を取っていて、結果として、健康寿命がこうなったというのが、データとして傾向が見えてくると思っています。 この傾向をもとに、すごくシンプルな言い方になりますが「こういう生活をしていた子が長生きしました」ということが見えてきたとすると、 それこそが、「正しい健康管理方法です」という定義ができると思うんです。 定義を見つけていくために、いろんなデータを集めないといけないというところが今のステージ。 まずはデータを「貯める」ということを、最初に我々がやっていこうとしています。 ペットフード安全法という法律では、ペットフードは「雑貨」として扱われている。Q.フード事業について、どのようなきっかけや経緯がありましたか。 データの蓄積を進める一方で、「健康管理で、これはもう絶対に必要」というのが既に分かっていることもあります。 絶対にこれはやるべきだと分かっているソリューションは、データ蓄積と並行して、開発に着手しました。 その第一弾としてご提供を開始しているのが、フード、BuddyFOODです。バディフードは現在10種類のメニューがあります。 (写真提供 Buddycare株式会社)【バディフードのフレッシュフードのごはん。オリジナルシリーズとヘルスケアプラスシリーズ全10種類。 スタッフで試食会を行い、粒がどれぐらいの大きさになっているかや、温めていない時と温めたあとの味や香りの状態などを確認。 】従来のドッグフードが開発された背景には、「人間にとっていかに便利に安く作れるか」、という考え方がありました。 今でも、全てのドッグフードがそうだということはないですが、便利に飼育するために、安く長期間保存できるように作られているというのが実体です。 ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)では、ペットフードは「雑貨」として扱われているんです。 もちろん生き物が食べるので一定の基準はあるんですけれども、僕たちが普段食べている食品に適用されている食品衛生法に比べると、 衛生面や安全面での基準、使用していい添加物の種類も明らかに差があります。 その安全法では、情報開示しなければいけない範囲も食品に比べて限定的で、実体として分かりづらいことも多い。 ペットフード基準以上のことをやっています、とメーカーが言っていたとしても、法律上の開示義務がある訳ではないので、実体は分からないというのが現実です。 実際に僕も、愛犬のごはんを選ぶときに、何を基準にしたらいいのか、 本当に信じていいのか、分からないという経験をしました。バディフードはペットフードではなく「冷凍そうざい」として人が食べるものと同様の基準で作っています。 Q.安心して選べる品質のために、どのような取り組みをされていますか。 では自分が、本当にこれは大丈夫だと自信を持って選ぶことができる基準は何かと考えたとき、安心できるのは、僕たちが普段食べている「食品の基準」でした。 バディフードのパッケージには「冷凍そうざい」と表記してあります。ペットフードではなく食品としての「冷凍そうざい」なんです。 人も食べられるレベルのものとして作っています。 (写真提供 Buddycare株式会社)アトスフーズさんという食品会社で作っていますが、食品の基準で作ることが法律上決まっているので、 情報開示の基準も、完全に食品表示法に則った基準のごはんになっています。 「愛犬用のごはん」として、ここまで徹底しているものは僕の知る限り本当に限られているので、 これをやりきれたことが、一つ重要な意味を持っているかなと思っています。 安全や衛生面で食品として作っている一方で、 愛犬用のごはんとして人間とは違う栄養基準にしないといけないので、そこはもちろん愛犬専用で作っています。 鹿児島大学の教授、栄養学を専門にしている獣医師さんにアドバイザーに入っていただき、世界的な栄養基準となっているAAFCO基準に沿って、栄養設計をしています。 「家族のためのごはんを作りたい」という話をしたら、コンセプトやミッションに共感していただけた。 Q.新しい取り組みをする上で大変だったことはありますか。 最初に人間の食品基準でやろうと決めましたが、それを受けてくれる会社というのがなかなか見つかりませんでした。ペットフードとして作るのであれば、いろんな工場があるんですけど。 食品として、犬が食べても大丈夫なごはんを作っていただけること。かつ、事業立ち上げ期の小さいロットでも小回りを利かせて対応してくださること。 この二つのフィルターがあると、そういう会社が見つからなくて、最初にして最大のハードルになりました。 アトスフーズの小田原社長は、「家族のためのごはんを作ろう」というコンセプトで会社を運営されています。 僕が説明をさせいただく中で、家族のためのごはんを作りたいんですという話をしたら、 コンセプトやミッションが似ているねと理解をいただきました。 であれば一緒にやっていこうと仰っていただいたのが始まりです。 アトスフーズさんも、鹿児島県の一次産業、特に農業をしっかりと地元に根付かせていきたい、 ごはんという商品に形を変えることで地元の農業の発信をするお手伝いをしていきたいという思いを持っていらっしゃいます。 その観点でいうと、僕らも、鹿児島の食材で愛犬たちのごはんを作り、全国に向けて発信をしたいと思っているので、 そういうところでも、アトスフーズさんと同じベクトルでお仕事をすることができたので、最初からご協力をいただけたのかなと感謝しています。お客様が愛犬に対して持たれている悩みは、以前僕らも持っていた悩みなので、一人の愛犬家としても共感できるんです。 Q.お客様との繋がりについて、どんなことを意識されていますか。 バディフードは販売して終わりではなく、そこからお客様との関係が続いていくもの。お客様サポートチームは会社の中でも特に注力しており、手前みそですが自慢のサポートチームです。 お客様のお名前はもちろん、愛犬名も一緒に全員が覚えています。 僕らはごはんを売る会社ではなくて、愛犬の健康状態を良くすることを目的にして、そのための一つの手段として、ごはんをご提供しています。 売って終わりじゃないというのは綺麗事ではなく、ごはんを売ってからがスタートだととらえています。 バディフードを食べ始めた後、愛犬がどうなったか、ちゃんと健康状態を維持できているのか、あるいは良くなったのかというところが、僕らにとっては本当の成功だと思っています。 社員全員が、これまで何かしら犬に関わってきており、 お客様が愛犬に対して持たれている悩みは、以前僕らが持っていた悩みだったりするので、一人の愛犬家としても共感できるんです。 そういう関係性をベースとした親密なコミュニケーションができているんじゃないかなと思います。 何が適切な健康管理か、ということが分かっていないので、お客様も悩んでいらっしゃいます。 バディフードの品質に納得をして、切り替えて、それでも残念ながら寿命を迎える愛犬もいます。そういう方からもお声をいただくことがありまして、 「最期にこのごはんに出会えてよかったです」とか、「やりきることができました」っていうお手紙をいただきます。 これはもう正に僕らが目指していることで、少なくともごはんという領域においては、ご家族が愛犬にしてあげられることを提示することができ、 そこの部分での迷いがなくなった方からお声をいただいていると思うので、バディケアが正しい方向に向かっていること、バディケアの存在意義を再認識できました。愛犬たちにとって「ごはんを食べる」ことは、「三大嬉しい時間」の一つ。 家族が時間を楽しむことに、もっとフォーカスしていいんじゃないかな。 Q. 愛犬と愛犬家の関わりにおいて、「ごはん」はどんな意味を持つのでしょうか。 ペットショップからワンちゃん迎える時に、そのペットショップが作っているドッグフードを、 ずっと変えないで食べ続けさせてくださいと最初に言われてしまうことがあるんですよね。 いろいろフードを変えていくと、何かあった時に食べてくれなくなるからだというんですけど、 そんなこと人間じゃ考えられないじゃないですか。毎日同じごはんを食べるって。 実際に、新しいごはんを食べてもらうと、もう愛犬たちの喜び方が全然違ったりするんですよ。 弊社では今10種類のフードを提供しています。いろんな味わいをローテーションできるので、ずっと喜んで食べ続けてくれるとお客様からも好評です。 愛犬たちにとってごはんを食べることは、散歩、家族と遊ぶことと並んで「三大嬉しい時間」の一つなんですよ。 それだけ愛犬たちにとって大切な時間を、人間のエゴ、あるいはビジネス上のエゴで最小化してしまっているのは、本当にかわいそうなことだと思います。 愛犬という家族が、楽しむということに、もっとフォーカスしてあげてもいいんじゃないかなって思うんですよね。 矛盾が発生してしまっているのは、「それが常識だ」と作ってきてしまったから。 Q.取り組みを通して、社会常識に変化はあると思われますか。 (写真提供 Buddycare株式会社)本当に皆さん愛犬たちのことを大切にしている。これは愛犬と一緒に暮らす人はほぼ全員そうだと思います。 ただ、多くの方が、普段食べさせているドッグフードをご自身でも口にできるかというと、できる人はほぼいないのではないでしょうか。 ちょっと気が引けるとか、何が入っているか分からないから口にするのはためらわれるのかもしれませんが、 自分がそう思っているものを自分の家族である愛犬に与えて育てるというのは、大きな矛盾だと思うんですよね。 でもその矛盾が発生してしまっているのは、 残念ながら、何十年も前にペットフードが開発された時の“常識”がアップデートできずに、今も「それが常識だ」と認識され続けているからではないでしょうか。 常識になってしまうと、なかなか疑問を持ちにくい。それが続いてしまっているのが今の状態だと思うんです。 でもバディフードのような愛犬用ごはんの存在を、選択肢として皆さんにちゃんと「知っていただく」ことさえできれば、皆さんの思いや考えの通りに「行動」が変わってくると思っています。 正しい健康管理方法がいつの間にか出来上がっている。そんな状態を作るのが、バディケアのアプローチ。 Q.犬のヘルスケアの研究は、どのような方法で進められているのでしょうか。 愛犬たちの健康管理データを蓄積・分析し、正しい健康管理方法を定義し、それに基づいてご家族の行動変容を促していく、というのは、なかなかハードルが高い面もあります。 愛犬の健康管理を確立するという未来に繋がるからデータをくださいと言っても、そう簡単には貯まらない。 あのApple watchも、恐らく心拍を取るためにつけている方は、最初はほとんどいらっしゃらなかったと思うんです。 時計としてデザインがいいから、決済機能があって便利だからなど、身近な便利さで使い始める人が大半だとおもいますが、使っているうちに勝手にAppleにデータが貯まっていく。 このデータを使ったヘルスケアのソリューションが、どんどんAppleやほかの企業から出てきています。バディケアの提供している「バディフード」や「バディログ」も、同じようなアプローチを目指しています。 データを取るために時計を使ってもらうのではなく、まず先に便利な機能を提供して、 使ってもらっているうちに自然にデータが蓄積されていく、という仕組みです。 (写真提供 Buddycare株式会社)【バディフードのトリーツ(おやつ)。ジャーキー全3種類。】 そういった仕組み作りのきっかけとして、バディフードやバディトリーツ(おやつ)、また、現在開発中のデバイスを活用した健康管理サービスなども含めて、提供してまいります。 バディフードを「ごはんとして優れているから使う」という人たちのご理解と協力を得て、使ってもらう時に愛犬の健康管理に関するデータが自然と貯まっていくという仕組みが確立しつつあります。 既に万単位のデータが蓄積されてきていますが、僕たちがどんどんデータを貯めて分析をしていくことで、 正しい健康管理方法が、いつの間にか出来上がっているという状態を作るのが、ビジネスモデルとしての僕たちのアプローチです。 鹿児島の第一次産業には、圧倒的に強いブランドがある。「もっと外に出したい」という方々が、ビジネスとしても僕らを応援してくださっている。 Q.生産者さんとの関わるなかで、鹿児島の食についてどんな印象がありますか。 鹿児島の第一次産業って、肉や魚も含めて、圧倒的に強いブランドはあると思うんですよね。 美味しさ、安心感もそうですし、消費者にとってぜひ使ってみたいと思う食材だといえるでしょう。 鹿児島の生産者さんの中には、いいものを作っているプライドがあって、県外にもっと発信したいけれど、その方法がなかなか見つからないという生産者さんもいます。 彼らの代理として、バディケアが外に発信していくチャネルとして機能することで知ってもらうきっかけ作りができると考えていますし、 そういう「もっと外に出したい」という生産者さんたちが、ビジネスとしても僕らを応援してくださっているんじゃないかなと思います。 「外貨を稼ぐ」という言葉がありますが、鹿児島の中だけを市場と定義してしまうと、中で取り合いになってしまって、鹿児島県の経済圏というパイが広がらない。 そこはやっぱり外貨、ここでは県外のお金を県の中に持ってくるという仕組みで、鹿児島県全体が大きくなっていくっていうのが、ビジネス的な観点ではとても重要だと思っています。 鹿児島に、製造や生産の拠点をしっかりと置いて、そこを軸として外貨を稼いでくるビジネスモデルが鹿児島にどんどん増えてくると、鹿児島の経済圏が広がっていくでしょう。 そういう意味では、地元の生産者さんに、外貨を稼ぐチャネルとして我々を活用していただけるのは、非常にありがたいですね。リアルのネットワーク、人脈っていうのは、鹿児島から東京っていうのはなかなか作れない。逆に東京から鹿児島もそうだと思います。Q.原田さんは起業をきっかけにUターンされましたが、環境づくりについて意識してきたことはありますか。 バディケアは鹿児島に本社を置いていますが、社員・スタッフ全体のなかで鹿児島にいるのは半数です。半数はリモートワークで普段は仕事をしています。 メンバーは東京、福岡、広島と、それぞれ散ばってやっているんですよ。 月に一回ないし四半期に一回程度本社に集まり、互いにコミュニケーションを深めながら、仕事をしています。 仮に全員が鹿児島の中だけに居ると、ビジネスの視野や情報の範囲が限られてしまう面があるかもしれないというのは、僕個人としても感じています。 オンラインの情報は入手できるものの、鹿児島と東京という距離ですとやはり、リアルイベントの情報を得る、リアルのネットワーク、人脈を築いていくというのは、簡単には作れないものです。 逆に東京から鹿児島に進出する場合でも同様だと思います。その両方に互いに出向いて、情報を共有しながらやっていくというのが、ビジネスの面でも本当にいい形だなと感じています。 商品を購入していただくのは愛犬のご家族の方々ですが、生活環境によって商品に対する考え方や、受け取り方も違うので、 鹿児島側でユーザーにお話を聞いた感覚、東京側で聞いた感覚を持ち寄れるのは、本当にいい補完関係だと思いますね。 デイリーの仕事はオンラインで行っており、全く問題なくコミュニケーションが取れています。 オンラインで仕事ができる時代になってきているなというのは感じます。 「本当にやりたいことを突き詰めた方が、人生の満足度って絶対上がるよ」と伝えたい。Q.起業する前のご自身に伝えるとしたら、どんなことを伝えたいですか。 前職は、それなりの大企業にいて仕事の規模も大きいものでした。例えば、100億円の会社を買収するといった仕事にも携わりました。 仕事そのものは面白かったのですが、これをやりたい!という自分の意思みたいなのはほとんど皆無だったんです。もちろん、ビジネスそれ自体が楽しいという感覚はありましたが…。 ビジネスはビジネスとしてしっかり成り立たせよう、という意識が強かったように思います。 バディケアは自分の想いを実現するために起業したので、自分ののめり込み方も違いますし、自分の意思を確認する機会はかなり多くなりました。実はそれが仕事の満足度や、やりがいにも直結してくるのだと実感しています。 やりたいことを第一に考えて、仕事、環境を選ぶことはとても重要だと改めて感じました。 起業することだけを奨めているわけではなくて、何かやりたいことに向けて、転職するのもいいと思います。 もし昔の自分みたいに迷っている人がいたら、「本当にやりたいことを突き詰めた方が、人生の満足度は絶対上がる」と伝えたいですね。 (写真提供 Buddycare株式会社)プロフィール紹介代表取締役CEO原田和寿と同COO長井聖司により2021年鹿児島市で創業。「世界中の愛犬が、1日でも長く健康に暮らせる社会を実現する」をミッションに、愛犬ごはん「Buddy FOOD(バディフード)」全10種、健康管理アプリ「Buddy LOG」等、愛犬のトータルヘルスケア改善に向けた事業を展開する。特にフレッシュフードの製造では、事業拠点を創業者原田の出身地・鹿児島に置くことで、質の高い原材料を生産者から調達し、トレーサビリティを確立。動物栄養学を専門とする獣医師「DC one dish」監修のもと、鹿児島県の食品会社「株式会社アトスフーズ」との協業により国産としては数少ない、食品としての愛犬用ごはんを実現している。経済産業省九州経済産業局により、2022年「J-Startup KYUSHU」に選出。 コーポレートサイト:http://www.buddycare.co.jp 〒892-0821 鹿児島県鹿児島市名山町9-15 mark MEIZAN内 会社代表:050-8881-9029